EXPLORATION 2000 - 2016

2000年4月から6月までロンドン博物館にて「Vivienne Westwood：ロミリー・マカルピン コレクション」が開催されました。

2001年、公式ウェブサイトwww.viviennewestwood.comを開設し、翌2002年には香港に１店舗、韓国にも２店舗、ブティックをオープンしました。

2002/03年秋冬、Cosa Coma Commeのショップを通じて、Vivienne Westwood X Commes des Garçonsとのコラボレーションを日本とミラノで発表しました。そして2003年には、英国のファインチャイナ、磁器、高級アクセサリーメーカーであるコールポートとコラボレーションし、Westwoodホームコレクションを発表しました。この年、イタリアのミラノにVivienne Westwoodのフラッグシップブティックをオープンしたほか、3月には、日本のVivienne Westwood婦人服のフラッグシップブティック を青山にオープンしました。英国ファッションエクスポートアワードのデザイン賞を受賞したのもこの年のことです。

2004年にはヴィクトリア・アンド・アルバート博物館で、ヴィヴィアン・ウエストウッドのファッションへの貢献を称える回顧展が開催されました。この種の展覧会は博物館にとっても初めてのものでした。

モエ・エ・シャンドン・ファッション・トリビュートは、ヴィヴィアン・ウエストウッドをヴィクトリア・アンド・アルバート博物館で初めて個展を開くヴファッションデザイナーとして称えました。

2005年、ラグとクッションをデザインするThe Rug Companyとの長期的なコラボレーションをスタートしました。

2006年、ヴィヴィアンにとって二度目となるバッキンガム訪問を果たし、当時のウェールズ王子チャールズ皇太子殿下から叙勲を受けました。

2007年のブリティッシュ・ ファッション・アワードにおいて、ヴィヴィアンがファッションデザイン部門の優秀賞を受賞しました。

2008年10月、日本の表参道にVivienne Westwood紳士服のフラッグシップブティックをオープンしました。

2010年にはフィリップ殿下デザイナー賞を受賞しました。Ethical Fashion InitiativeとArtisan Fashionを支援する国連とのパートナーシップとして、Made in Kenyaを発表したほか、Climate Revolution、ヴィヴィアンの活動家としてのチーム、Vivienne’s activist teamとそのウェブサイトも立ち上げました。

2011年、ロサンゼルスにVivienne Westwoodのフラッグシップブティックをオープンしました。

2012年、慈善団体 「Cool Earth」 に100万ポンドを寄付しました。

2015年４月、ブランド初となるカフェを上海にオープンし、同年10月には香港のハーバーシティモールに2番目のカフェをオープンしました。

2017年には 「トランプ」 を発売しました。

「私は活動家として政治や環境問題を訴えるグラフィックを数多く制作したので、それらをトランプのデザインに落とし込むことで、トランプを通して世界を救う方法を伝えることができるのです。それは、消費を減らし、工業漁業への補助金を止め、子供たちを教育するなど。私が『No Man‘s Land（世界は誰のものでもない）』と呼ぶ、自然界は誰にも属していないという考えに基づいたビジョンに向けて資本主義から脱却し、品質主義への変革を説いたマニフェストも掲げています（ヴィヴィアン）」

歴史主義をかたわらに置きつつ、ヴィヴィアンは性別のないカッティングに立ち戻り、生地自体を生きもののように扱うことで生地の自然な動力を探求しました。地球上の生物は地球と相互に関係し合い、自身の生存に適した環境を維持するための自己制御システムを作り上げていると説く、ジェームズ・ラブロックの 「ガイア仮説」に触発され、ヴィヴィアンは自分のいる環境を見つめ、私たちの周りの世界や以前の世界に思いを馳せ始めました。やがて活動家としての行動が彼女にとって最優先事項となり、コレクションを改革へ導く手段としても活用し始めました。彼女は自分の服を通して、消費者に気候変動を理解し対応を促すべく、複雑な過去の経緯と来る未来の危機を伝えています。

「NASAによるこの地図は、地熱を表したもので科学雑誌New Scientistの地図と同じものです。私は単純に分界線に沿って線を描き、その線より下を人が住めない地域としてマーキングしました。この線より上が私たちに残されたすべてです。この情報は公開されてはいるものの、人々に理解してもらうのが私の仕事です。暴走する気候変動の転換点として 2 度が挙げられており、それは5 度前後に達するまで止まらないと言われていますが、すでに約2度に達しています。地図によると、５度前後に達してしまうと人口は10億人しか残らないとされています。これは避けられず、今世紀の終わりまでに起こる可能性があります（ヴィヴィアン）」

 

Collections:

Summertime,（2000年春夏シーズン）- 20世紀最後のコレクション。
・インスピレーション
ローマ神話に登場する農業・ワイン・豊穣の神バッカスの象徴。バッカス祭り。フェラチオをピクセル化したプリント。落ち着いた色彩と花。Bestial shoes（アニマルトゥの靴）。立てられた生地。「Booze」 ジャケット。草のシミと赤ワインのこぼれ。ウールメランジ。

Winter,（2000年秋冬シーズン）
・インスピレーション
ウィリアム・シェイクスピアの 「Love's Labour's Lost」。フリンジドウール製のフード付きガウン。重厚な、シルバー色のだまし絵ジュエリー。柔らかいジャージ。トレーシー・エミン。16世紀から17世紀。

Exploration,（2001年春夏シーズン）
・インスピレーション
文学への賛歌。「読書はファッションよりも人生最大の情熱（ヴィヴィアン)」アリストテレス、オルダス・ハクスリー、バートランド・ラッセル。クラパム地区の自宅にあるアンドレアスとヴィヴィアンの本棚の写真 「ブックバインダー」プリント。蝶と昆虫の研究。本のページのように長方形の布を折ったもの。柔らかな仕立て。パイプを吸う知識人をあざ笑う。

Wild Beauty,（2001年秋冬シーズン）
・インスピレーション
3歳で初めてキャットウォークに登場したCora Corré (ヴィヴィアンの孫娘) 。ミニキルト。タイガーストライプ。「アニマル」 カット。動物の皮のようなカーブした縫い目とジグソーピース。絹のタフタを潰して折り目やしわをつける。刺繍。品性下劣。

Nymphs,（2002年春夏シーズン）
・インスピレーション
フラゴナール、ブーシェ、ヴァトー。神話の牧歌的な田園詩。長い羽毛のついたまつ毛。伝統的なストライプのラグビージャージ。角張った構造。意図的な凹凸。「信じられないほど生き生きとしていて、張り詰めた表情をしています (ヴィヴィアン)」巨大なコサージュ。群葉からモデルが現れる。

Anglophilia,（2002年秋冬シーズン）
・インスピレーション
Anglomaniaからの第二歩。ヴィヴィアンお気に入りの赤いドレス。エリザベス2世のシルバー・ジュビリー（即位25年祝典）。未完了および未実行。ホルバインとブーシェ。フェティシズム的な英国性。ぎざぎざのアーガイルニット。ポンパドゥール夫人のガウン。落ち着いたパレット。リボンとツイード。

Street Theatre,（2003年春夏シーズン）
・インスピレーション
日常の光景やパフォーマンスとしてのファッション。パンクに由来するもの。都会のジャングル。ストラップで固定。ユニオンジャック。意図的な破壊。リラックスしたフィット感。異なる角度で切断された幾何学的な断片。リバーシブルファインウール。

Le Flou Taille,（2003年秋冬シーズン）
・インスピレーション
流動性。オートクチュール、テーラリング、落ち感のある生地。「内側の構築された構造により作り出される、外見の自然な美しさ（ヴィヴィアン、Vogue誌に向けて）」昼間のパジャマ。ニーハイコサックブーツ。スリップ＆スライド。サテンのボクサーパンツ。

I Am Expensiv,（2007年春夏シーズン）
・インスピレーション
ディズニーキャラクターを普遍的な表現として使用。「愛しいヒロインと嫌悪感を抱く悪役（ヴィヴィアン）」ブロックの色。21世紀の富の蓄積への執着を探る。カットアウトレース。ノーサンバーランド州にあるボウズ博物館。

Wake Up Cave Girl!,（2007秋冬シーズン）
・インスピレーション
女性型の極端な誇張。「布の彫刻 (ヴィヴィアン)」石器時代。「原始家族フリントストーン」に由来するドレスの名前。基礎コルセット。「セックス・アンド・ザ・シティ」に登場するキャリーのタフタ製ウェディングドレス。好きなようにボタンを留めて自由に着こなせるデザイン。

56,（2008年春夏シーズン）
・インスピレーション
2007年7月、英国政府は、裁判なしで56日間投獄するテロ対策法を提案しましたが、これは従来の28日間の倍でした。17世紀の女性と売春婦。「マリリン・モンローが田舎の領地を持つ英国の領主と結婚し、2人の間にゆがんだ関係があったらどうでしょう (ヴィヴィアン)」原型となる女性。異教の儀式。抽象的なグラフィック。

Chaos Point,（2008秋冬シーズン）
・インスピレーション
小学生とのコラボレーション。ジャングルの自由の戦士たち。CHAOSとActive Resistanceのシンボル。生態系の危機は転換期を迎えている。子供っぽい無邪気さ。切り抜きで出来た紙人形。演劇的で魔法的。

Do It Yourself,（2009年春夏シーズン）
・インスピレーション
「困難な時期は、正装するの。自分でやるのよ! (ヴィヴィアン)」テーブルクロス、安全ピン、カーテン。「Make Do and Mend」 の精神。ドレープの素晴らしさ。シグネチャーコルセット。リサイクル。

+5°,（2009年秋冬シーズン）- タイトルは、気候変動が地球の気温を新たな平衡状態に変え、破滅的な結果をもたらすという科学的な主張に由来しています。
・インスピレーション
画家アンドレア・マンテーニャの色彩と技法。焦げたオレンジ、赤、青。 ルネサンス時代の鎧をニットで表現。パメラ・アンダーソン。ジェームズ・ラブロックの生態学的 「ガイア」 仮説。ガイア。

Get a Life,（2010年春夏シーズン）
・インスピレーション
ヴィヴィアンの活動服。保護。ブリーチしたストライプ。ジェームズ・ラブロックの生態学的理論の第2部。プラスチックの袖。パウダーをのせた顔と高いポンパドール。炎に包まれた髪。細切りのリボン。フルスカート。

Prince Charming,（2010年秋冬シーズン）
・インスピレーション
パントマイムの 「Principle Boy」。性別の境界線をぼかす。「グリム童話の黒い森で出会うような人たち（ヴィヴィアン」鉛筆書きの口ひげ。マレーネ・ディートリヒとの連帯。

Gaia The Only One,（2011年春夏シーズン）
・インスピレーション
曲線美、官能性、そして超女性的に特化。マティス、コメディア・デラルテ、バレエ。ツタンカーメン、能、ペルーの山にいる少女たち「太陽との結婚を待っている」。ハートのドレス。チュチュとランプシェードシルエットのスカート。

World Wide Woman,（2011年秋冬シーズン）
・インスピレーション
女性の機関と権力。母なる地球。「社会の絆を築くのは女性よ (ヴィヴィアン) 」。中世の偶像を織り込んだ金色のブロケード。ビザンティンの宝飾品。鎧としての仕立て。「彼らは文化の守護者であり、最も重要なのはサロンの創設です (ナポレオンは、妻がサロンを開くことを条件に、将軍を貴族に列することに同意しました) (ヴィヴィアン) 」

War and Peace,（2012年春夏シーズン）- ショーの招待状には、手描きのファミリーツリーすなわちヴィヴィアンの地球に対するメッセージが描かれていました。
・インスピレーション
儒教。チャイナドレスとトゥアレグ族のドレス。特大のヒストリカルコルセット。甲冑としてのツイード。進歩と品質。

London,（2012年秋冬シーズン）
・インスピレーション
17世紀。「私は歴史の資料に頼っています。また賢い人と関ったり、自分のファッションでも過去を捉えようとしてきました (ヴィヴィアン)」舞台と普段着の関係性。アンドレアスのロンドンに対する愛。未完成の裾。子供が描いた絵。

Climate Revolution,（2013年春夏シーズン）
・インスピレーション
甲虫類の関節と色彩。ディエゴ・ベラスケスの絵画。中国茶のパッケージに見られる模様。「Squiggle」プリント。CLOMPER SHOES。廃棄物削減の方法。「スクエア」 のTシャツとドレス。ケイト・モスとのキャンペーン。2012年ロンドンパラリンピック閉会式。

Save the Arctic,（2013年秋冬シーズン）
・インスピレーション
中世ヨーロッパ。「デザイナーは常にバーチャル・リアリティーを創造すると信じているの。彼らが作る衣服は存在しない場所、より良い場所に向けて作るから」 (ヴィヴィアン) 。14世紀装飾写本。イラストとしてのモデル。タフタ製のケープ。

Everything is Connected,（2014年春夏シーズン）
・インスピレーション
ウィリアム・シェイクスピアの 「Measure for Measure」。巡礼者が履くサンダル。飛び散った泥。サングラスのレンズをリサイクルして縫込んだ刺繍。フリーダ・カーロの図像。チュール。

Save the Rainforest,（2014年秋冬シーズン）
・インスピレーション
オートクチュールの創始者シャルル・フレデリック・ウォルトへのオマージュ。フランツ・クサーヴァー・ヴィンターハルターが1865年に描いたオーストリアのエリーザベト皇后の肖像画。フリルのついたケープ。軍隊の疲労。反フラッキングのスローガン。

Unisex - Time to Act,（2015年秋冬シーズン）
・インスピレーション
バイセクシュアルなルック。「ウエストウッドの花嫁」と呼ばれた、胸を露わにした男性が着用したドレス。柔らかくて流動的なものと、重厚で構造的なものの対比。英国のハンドテーラリング。プロポーションで遊ぶこと。「新しいからセクシーであり、その人を外から見るようになります (ヴィヴィアン) 」

Mirror the World,（2016年春夏シーズン）- GOLD LABELとしての最後のショー。
・インスピレーション
ルネサンス期のヴェネツィア。ベッリーニ、ジョルジョーネ、ティツィアーノ。15世紀のガラス鏡製造。ヴェネツィア・カーニバルの異教起源。モデルの頭上の構造物に吊り下げられたジャケットは、高床式で支えられたパラッツォを表現したもの。ベル・エポックの帽子。